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危険物の資格は甲種・乙種・丙種に分かれますが、すべての危険物が扱える最高位の資格〝甲種〟の取得を目指す人はそれほど多くありません。

これは受験資格があるということが少なからず影響していますが、甲種の資格を必要とするような職種は限定的なため、危険物なら乙種さえ持っていれば十分と考える人が多いということも、その背景にあるようです。

危険物取扱者の免状 では、危険物甲種の資格は取る必要はないのかというとそんなことはありません。

乙種のように取扱うことのできる危険物に制限がないため、様々な危険物を使用する化学工場や研究施設などで働く場合に甲種の資格が活きてきます。

※ 資格の取得効果が完全に同じというわけではありません(他資格を取得する際に影響してくることがある…)が、乙種でも第1類~第6類すべての試験に合格すれば、甲種同様の危険物を取扱うことは可能です。

そのため、危険物甲種の資格は状況に応じて取得すればよい資格といえるでしょう。

そこで、甲種の資格を取らなければならなくなった方のために、危険物甲種はいったいどれくらい難しい試験なのか、その難易度について少し客観的に分析してみたいと思います。




試験合格率から見た難易度

下記に示す資料は、危険物取扱者試験の合格率に関するデータです。

この資料によると、危険物甲種の合格率は比較的安定しているようで、毎年30%台前半で推移していることが見てとれます。

この数値を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、合格率で試験の難易度を判断するのであれば、国家資格に属する試験において、合格率が30%を超える試験は決して難しい試験とは言えません。
甲種 乙種 丙種
第1類 第2類 第3類 第4類 第5類 第6類
平成23年度(H23.4月~H24.3月) 33.1% 70.1% 71.7% 70.8% 34.0% 70.2% 66.4% 50.7%
平成24年度(H24.4月~H25.3月) 32.8% 70.9% 69.0% 70.2% 33.7% 69.6% 68.2% 50.6%
平成25年度(H25.4月~H26.3月) 33.2% 68.0% 66.9% 67.0% 31.8% 68.4% 65.0% 49.9%
平成26年度(H26.4月~H27.3月) 32.8% 67.3% 67.3% 67.5% 29.2% 68.6% 65.3% 48.5%
平成27年度(H27.4月~H28.3月) 32.2% 66.6% 65.6% 67.6% 29.4% 67.9% 65.4% 49.2%
甲乙丙:試験合格率の推移グラフ
ちなみに、試験形式が似ている宅建試験(四肢択一のマークシート方式/計50問)の合格率は、例年15~17%前後で推移しているので、単純に合格率で比較するならば、宅建試験よりも危険物甲種の方が難易度が低く合格しやすい試験ということになりそうです。

しかし、冒頭でも触れたように、危険物甲種には〝受験資格〟があります。

また、甲種の取得を目指すような人は、仕事上、資格がないと困るといったような、どうしても試験に合格しなければならない方が受験されるケースが多いため、宅建や乙種・丙種に比べると受験者の〝質〟という点で大きく異なってきます。

つまり、危険物甲種を受ける受験者は、既に危険物に関する知識がある程度身に付いていたり、試験に対する真剣度が高いため、万全の態勢で本試験に臨む受験者の割合が高いということです。

一方、宅建や乙種・丙種などは、受験資格が一切なく、かつ、人気資格だということで、とりあえず受けてみようといった興味本位の受験者が大勢います。

そのため、たいして勉強もせずに本試験を迎えた準備不足の受験者の不合格によって、合格率が大きく下がってしまっていることが考えられるため、受験者の質が高い中での合格率30%というのは、それなりに厳しい試験であると言えそうです。

※ 危険物甲種と乙4の合格率は同じような数値で推移しているので、一見、難易度も同等のように思えますが、乙4は受験者数が最も多い人気資格であり、その分、勉強不足の受験者も大勢います。そのため、受験者の質を考慮すると、甲種試験の方が上であり、試験問題の難易度という点においては甲種の方が遥かに高いと見るべきです。





試験制度&出題内容から見た難易度

危険物取扱者試験には、次のような合格基準があります。
合格基準

甲種、乙種及び丙種危険物取扱者試験ともに、試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上の方を合格とします。(試験科目の免除を受けた受験者についてはその科目を除く)
つまり、合否判定は総合点ではなく、各科目ごとに設けられた最低得点をクリアしたかどうかで決まるため、極端に不得意科目があると合格が難しくなってきます。

ちなみに、危険物甲種の試験問題数と合否判定の具体的を挙げると下記表のようになります。
危険物甲種の試験科目と出題問題数
試験科目 出題問題数と合否判定
危険物に関する法令 15問 9問以上の得点が必要!7問不正解ならOUT!
物理学及び化学 10問 6問以上の正解が必要!5問不正解ならOUT!
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 20問 12問以上の正解が必要!9問不正解ならOUT!
本試験では計45問出題されますが、試験科目によって問題数が大きく異なっており、特に「物理学及び化学」に関しては10問と少ないため、この科目で5問間違えてしまうとそれだけで不合格となってしまうので注意が必要です。

特に文系出身者は苦手科目になりやすいので、この試験科目をいかに克服するかが合否の鍵を握ってきそうです。

問題数が多ければ、苦手意識のある不得意問題は捨てるといったテクニックも使えますが、物理学及び化学のように問題数自体が少ない場合は、問題を選り好みできるような余裕はありません。

問題数が少ないということは、ある意味考えものであり、1問に対するウェートが高くなってくるので、取れる問題が確実に得点に結び付け、合格ラインを割らないよう油断しないことが大切です。



では、次に危険物甲種の試験問題からみた難易度について少し分析してみましょう。

受験経験のある方や、既に試験対策に取りかかっている方であれば、お気づきのことかと思われますが、危険物取扱者試験に関しては、本試験で出題された問題を収録した、いわゆる過去問題集というものは一切販売されていません。

試験会場では、問題冊子を回収してしまうので(持ち帰り禁止!)、過去に出題された本試験問題を入手するのは非常に困難です。

これは、他の試験に比べて試験回数が多いことなどが影響(頻繁に行われる試験なので、毎回、新しい問題を作っている余裕がない、問題作成の費用を抑えるなどが主な理由として考えられます)していると思われますが、試験対策において過去問を解くことができないというのは、人によっては不安なことかもしれません。

しかし、まったく情報がないわけではありません。

試験の実施団体である一般財団法人消防試験研究センターの公式サイトでは、過去に出題された問題の一部が公開されており、また、危険物取扱者試験の勉強をしている受験生が集まる交流サイトなどでは、情報提供により試験問題を復元していることもあります。

そこで、これらの情報を基に危険物甲種の試験問題を分析してみたいと思います。

甲種試験は乙種と同じく5肢択一のマークシート方式ですが、その主な出題パターンと特徴についてまとめる、と概ね下記表のような感じになります。
出題パターン 主な特徴
正誤問題 例:正しい(誤っている)ものはどれか?

矢印単純に正解肢を1つ選ぶ問題であり、用語の意味や特徴を知っていれば短時間で解答できる。
組合せ問題 例:正しいものの組合せはどれか?

矢印正誤問題よりは厄介で、正確な知識や理解力が求められる問題が多く解答時間もかかる。また、場合によっては穴埋め形式の組合せ問題として出題されることもある。ただし、問題によっては消去法により短時間に解けることも…
個数問題 例:正しい(誤っている)ものはいくつかるか?

矢印最も解答しにくい難易度の高い出題パターン。組合せ問題以上に正確な知識と理解力がないと自信を持って解答できず、全体的に受験生の正答率は低い。
穴埋め問題 例:(  )内に当てはまる語句はどれか?

矢印数字に関する問題など、知っていれば答えられる問題が多い。
計算問題 「物理学及び化学」の試験科目で出題されやすい出題パターン。計算問題自体はそれほど複雑ではないが、公式も含めしっかりと理解していないと解答することができないため、苦手意識のある方は一番の難所。
気になる試験内容ですが、乙種に比べると危険物甲種は、確かにより細かく深い知識が求められる問題も出題されているようです。

しかし、乙種に合格する実力がある方なら、決して歯が立たないというほど難解な問題ではないでしょう。

危険物取扱者試験は甲乙丙問わず、基本、暗記重視(甲種と言えど、法令科目などは暗記で対処できる)の試験なので、難易度どうこうよりも、知識をコツコツと積み重ねていくことで合格レベルに達する実力は身に付きます。

ただし、「物理学及び化学」に関しては、乙種よりも応用的なことを聞いてくる問題が出題されるときもあるので、理数が苦手で文系の道を歩んできたような方は、この科目を理解するのに多少苦労するかも知れません。