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社労士試験の独学勉強法top
下記に示す受験者データからもわかるとおり、社労士を目指す人は、学生よりも30代以降の社会人受験者が目立ちます。
社労士試験結果の円グラフ
一般的に社労士試験の標準学習時間は1,000時間前後と言われていますが、仕事を抱える有職者が1,000時間もの学習時間を確保することは容易ではないことから、社会人受験者は特に独学よりも専門スクールの講座を利用しながら少しでも無駄を省きながら効率よく学習した方が無難であるとする意見は少なくありません。

しかし、司法書士試験や公認会計士試験などとは違って、社労士試験は難関試験とは言われるものの、独学で合格を勝ち取っている方もいます。

そこで、社労士試験を独学でパスするような人は、いったいどのような勉強法で取り組んでいるのか・・・

あくまで一例にすぎませんが、その勉強法の内容についてザッとまとめてみるので、これから独学で社労士試験対策を行おうと考えてはいるものの、勉強法がいまいちよく分からないという方は、少し参考にしてみてはいかがでしょうか。




社労士試験の独学勉強法:試験攻略のポイント

これまでの社労士試験を振り返ってみると、独学の勉強法で試験を攻略するには、いくつかのポイントが見えてきます。

そこで、どのような点に注意を払いながら日頃の勉強法を組み立てていけばよいのか、少し順を追ってみていくことにしましょう。
出題形式からみた攻略ポイント
社労士試験は《択一式問題》と《選択式問題》とに分かれますが、平成12年度に行われた試験制度の改正により、すべての試験問題がマークシート方式で統一されました。

各試験問題の大まかな特徴については、次のとおりですが、ここ最近の過去問題を振り返ってみて気付くことは、幅広い範囲から細かな知識が問われやすいということです。
択一式問題 選択式問題
出題問題数が多く、そのほどんどは正誤問題であるが、各設問の文章がそこそこ長いため、正確さもさることながら解答スピードも要求される。


【試験時間 … 210分 / 問題数 …… 計70問】
予め用意された解答群(問題の大半は①~⑳)の中から適切な語句を拾っていく穴埋め問題であるが、類似した語句も多いため正確な知識が求められる。


【試験時間 … 80分 / 問題数 …… 計8問】
そのため、曖昧な知識では正確な解答を導き出せないことから、ひとつでも多くの知識を記憶しておくに越したことはありませんが、学習時間に制限があるような社会人受験者にとっては、その勉強時間の確保が難しいというのが現状です。

では、どうすべきか・・・?

まず第一に、社労士試験においては完璧主義を捨て、満点を狙わないことです。

先にも触れましたが、試験課目によっては、「えっ !? こんなところまで出るの!」と嘆きたくなるような細かな知識問題も出題されているので、有職者が独学の勉強法で試験範囲を完璧にマスターするのはまず無理です。

しかし、社労士試験は、択一式・選択式問題共に、概ね6~7割以上(ここ数年は問題の難易度が高く、合格ラインややや低め…)の得点があれば合格できる試験であることが分かっています。

そのため、特に勉強時間に限りのある有職者等は、本科目での高得点を狙わず、最低ライン(足切り)を突破することを目標に勉強し、あまり深入りすべきではありません。
社労士試験の合格基準
年度 選択式[40点満点] 択一式[70点満点]
H26
《46回》
総得点26点以上、かつ各科目3点以上(ただし、雇用保険法、健康保険法は2点以上) 総得点45点以上、かつ各科目4点以上(ただし、労働及び社会保険に関する一般常識は3点以上)
H27
《47回》
総得点21点以上、かつ各科目3点以上(ただし、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法、厚生年金保険法は2点以上) 総得点45点以上、かつ各科目4点以上
H28
《48回》
総得点23点以上、かつ各科目3点以上(ただし、労働の一般常識、健康保険法は2点以上) 総得点42点以上、かつ各科目4点以上(ただし、労働及び社会保険の一般常識、厚生年金保険法、国民年金法は3点以上)
相対評価試験対策のポイント
試験合格率の安定度、合格基準等を踏まえると、社労士試験は《相対評価試験》です。

そのため、社労士試験受験者は、行政書士試験のように本試験問題の難易度によって合否が左右される影響は少ないものと思われます。

つまり、受験者全体の上位10%程度が合格する試験制度を採用している以上、受験者全体の総得点が上昇した場合には合格基準も底上げされることになるので、今年の試験問題は易しかったから高得点が取れた!だから自分は合格だ!とは考えにくいのです。

したがって、相対評価を導入している社労士のような試験制度においては、受験者全体との位置関係(能力レベル)を意識し、取りあえず全受験者の上位10%内に入ることを心がけた受験テクニック(試験対策)が必要になってくる試験制度といえるでしょう。

つまり、社労士試験は競争試験なので、大多数の受験者が取りこぼしているような難問に固執して試験範囲を完璧にマスターするよりも、他の受験者が得点に結び付けている問題は確実に取る!という思考が重要だということです。
相対評価試験 絶対評価試験
「受験者の上位●%」といったように成績上位の者から順に合格する試験制度。単純に合格基準さえ満たせば良いという試験ではないため、受験者同士で競い合わなければならず、受験者自身の本当の実力が問われやすい。そのため、母集団の能力が高い(ライバルの成績が上がる)と、基準レベル自体が高くなるが、絶対評価試験のように試験問題の難易度によって合否が左右されるといったことは少ない。 規定の合格基準(例:100点満点中70点以上で合格)さえ満たしていれば、原則、合格する試験制度。つまり、試験機関が事前に公表している合格基準さえ満たせばよく、受験者同士で競い合うことがない。そのため、試験問題の難易度により、合格者数が大幅に変動しやすいのが特徴(試験問題が易しいと大量に合格者が出るが、試験問題の難易度が高い時期に受験すると合格者数も激減してしまう、いわば運的要素も強い)。



分析!独学勉強法に役立つ社労士試験:科目別出題傾向と対策

社労士試験のような試験範囲が広い国家試験においては、本試験の出題傾向を把握し、ポイントを押さえた勉強法で効率よく学習しなければ、合格率10%程度の狭き門を突破することは出来ません。

さらに、先にも触れましたが、社労士試験は足切り制度(科目ごとに最低得点が設けられており、その最低得点に満たない科目が1科目でもあると不合格になる)が導入されているため、苦手科目を無くしバランスの良い勉強法が求められます。

社労士試験は実務重視型の試験であり、どちらかというと学生よりも社会人受験者の多い国家試験です。

したがって、仕事と両立しながら、より限られた時間内で学習しなければならず、各科目、深く追求し満点を狙うよりも、出題傾向を分析し、足切り制度に配慮した7~8割の得点を目標とした勉強法が効率的な合格への近道となってくるので、独学で試験突破を試みている方は、各科目の重要論点や出題傾向を把握し、効率の良い勉強法を確立してください。

なお、最後に科目別出題傾向を以下にザッとまとめておくので、参考にしてみてください。
社労士試験:科目別出題傾向と攻略ポイント
試験科目 主な重要論点 過去の出題傾向や特長 出題問題数
択一式 選択式
労働基準法 ・賃金
・解雇
・労働時間
・休日/休息
近年、難易度の高い問題が出題される年度も増えている。労働時間・休日/解雇関連問題が中心となるが、就業規則等も必ず一通り押える。 10問 1問
労働安全衛生法 ・安全衛生管理体制
・健康診断
条文が長い割りに出題数が少ないためポイントが絞りにくい科目であるが、安全衛生管理体制/健康診断等が中心。
労働者災害補償保険法 ・労災保険法の目的
・障害/遺族補償給付
・労働福祉事業
遺族・障害給付等の保険給付が中心。法改正時には改正内容に注意すること。 10問 1問
雇用保険法 ・求職者給付
・介護休業給付
・高年齢雇用継続給付
失業の認定・手続きなど基本手当てに関する問題が中心。法改正の多い科目でもあるため特に最新の改正内容は要注意! 10問 1問
労働保険徴収法 ・保険料の算定
・労働保険料の申告/納税
選択式問題に関しては、ほとんど出題例がない。 労災法・雇用保険法と絡ませて出題
労務管理その他の労働に関する一般常識 ・労働関係法令全般
・近年の動向
広く出題されるためポイントが絞りづらいが、労働経済白書・新聞等から近年の動向に注目! 10問 1問
社会保険に関する一般常識 ・社会関係諸法規全般
・社会保障制度全般
範囲が広いためポイントが押さえずらいが、医療や年金関連の最近の動向を把握する他、関連諸法規の基本を押える。 1問
健康保険法 ・保険給付全般
・資格喪失
・標準報酬/時効
難化傾向にあるが、保険給付や被保険者に関する出題が中心。 10問 1問
国民年金法 ・老齢基礎年金
・障害基礎年金
・遺族基礎年金
両者を1分野と捉え、対比させながら覚えると効果的。 10問 1問
厚生年金保険法 ・老齢厚生年金
・障害厚生年金
・遺族厚生年金
10問 1問
※ 出題問題数については、第44回試験(H24年)を参考。あくまで参考資料なので、独学者の方は特に自分で出題傾向を分析し、独自の学習プランを計画する必要があります。


司法書士試験や公認会計士試験のような超難関と言われる国家試験を、独学の勉強法のみで合格を目指すことは無謀ですが、社労士試験を独学でクリアする者は少なからず存在します。

しかし、社労士試験は、出題範囲が広い上に、苦手科目を無くしバランス良く学習(各科目ごとに合格に必要な最低得点が設けられている)しなければならないため、重点的に勉強すべき論点等を誤ったりすると、何度も繰り返し不合格になってしまう…といった悪循環に陥ってしまうケースもあるようです。

過去問を解いてみれば気付くことですが、社労士試験は、そのまま実務に直結する問題が多数出題されていることから、どちらかと言うと学生よりも社会人向けの国家試験です。

そのため、特に学習時間が限られている社会人受験者などは、専門講座を利用するなどして、合格に必要な論点だけを徹底して学習するカリキュラムが組まれた学習スタイルに切り替えた方が賢明かもしれません。

そこで、参考までに社労士試験には定評のある大手スクール(資料請求自体は無料)を、以下に3つほどピックアップしておくので、利用するしないにかかわらず、一度、案内資料を取り寄せるなどして、カリキュラムや教材内容等を比較検討してみることから始めてみるのも悪くはないでしょう。
社労士講座の特徴
資格の大原 社会保険労務士講座
どちらかというと会計系の資格に力を入れているスクールだが、長年の実績とノウハウがあるため、社労士や行政書士などの国家試験対策講座にも力を入れ始めているようである。

短時間で効率よく合格を手にするための勉強法を実践しているので、その学習スタイルは好みが分かれるところであるが、仕事で多忙を極め学習時間が思うように割けない受験者には検討してみる価値があるかもしれない(ちなみに、コースは初学者、中級者、上級者と複数用意されているので、現時点の自分の実力に合わせて選択可能)
大原の社労士講座は〝一発合格主義〟をモットーとしているだけに、本試験でパーフェクトを狙うことよりも試験突破することを目的とした教材を使用している。

そのため社会人をはじめとした学習時間が限られている受験者にとっては取り組みやすいカリキュラムが組まれている点は評価したい。

ただし、試験突破を最優先としているため、合格に必要でないと思われる範囲は思い切って省いているので、学習範囲はすべて押えておかないと不安になるという性格の持ち主にはあまり適さないかもしれない。