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合否判定基準からみた宅建士試験の難易度

宅建士(旧 宅建)は行政書士試験のように、合格ライン(合格点)が前もって公表されているわけではありません。

つまり、受験者の試験結果を把握した上で合格ラインを決定するため、〇〇点以上取ることができれば絶対合格できる!といった点数の保証はないということです。
宅建士:合格点の推移グラフ
また、下記表に見られるように、宅建士の合格率は、例年15~17%前後という、比較的、安定した推移を示していることを踏まえると、事実上、相対評価による試験制度を採用していることが伺えます。

※ 相対評価試験 … 受験者の上位●●%を合格者とする!といったように成績上位者から順に合格させる試験制度。そのため、試験問題の難易度に合否が左右されにくいものの、受験者同士での競争試験となりやすい。
宅建士:合格率の推移グラフ
相対評価試験の法律系国家資格といえば、社会保険労務士や司法書士のような非常に難易度の高い国家試験に採用されているため、やはり宅建士も難易度の高い難しい試験なのでは?と不安に駆られるビギナー受験者も中にはいるようです。

確かに受験者は他の受験者とライバル関係にあり、互いに競い合いながら、一定の上位圏内に食い込む必要がありますが、過去の合格ラインを振り返ってみると、実施年度によって変動はあるものの、合格点が36点を超えたことは一度もありません。

つまり、宅建士は他の受験者と競い合う相対評価試験ではあるものの、過去の合格ラインを考慮すると、36点(約70%)以上の得点を取れば合格できる絶対評価的な要素も併せもっている試験であると言うこともできそうです。

※ 絶対評価試験 … 規定の合格基準さえ満たせば合格できるといった意味合いの試験制度。

また、合格ラインが比較的安定した推移を示していることを踏まえると、本試験問題が6~7割程度得点すれば合格できるよう難易度が調整されていると思われます。

実施年度によって問題の内容(難易度)を大きく変えてしまうと、合格ラインが激しく変動してしまう恐れがありますが、これまでの試験結果を振り返ってみても、宅建士試験にそのような傾向は見られません。

つまり、試験問題の難易度が毎年一定レベルに保たれるよう問題を作成するわけですが、そのためには極端に奇抜な問題や難しい(あるいは優しい)問題は増やしにくいため、過去に出題された標準レベル問題を繰り返し出題することで、問題の質(レベル)を安定させることにあります。

したがって、結果的に宅建士試験は類似問題が出題されやすい試験であるというのが特徴のひとつです。

これらの点を踏まえると、宅建士試験とは、どちらかというと他の受験者と競い合う競争試験というよりも、いかにケアレスミスをせず、日頃の勉強で標準レベルの問題が解ける実力を身に付け7割以上の得点を上げるかといった自分自身との戦いの強い試験と言えるでしょう。




試験形式からみた宅建士の難易度

宅建士は、配布された解答用紙の解答欄にプリントされた〇印を、鉛筆などで塗りつぶす四肢択一の完全マークシート方式を採用しています。

問題数こそ回を重ねるごとに増えてきましたが、現在は120分間で全50問(登録講習修了者の試験問題は全45問)出題されます。

したがって、計算上、1問あたりに割ける所要時間は〝2分24秒(見直しや記入時間等を考慮すると〝2分〟前後が理想)〟ということになります(もちろん、問題の難易度やボリュームによって解答時間は異なってきます)。

※ 出題問題数の変化 … 30問(試験開始当初~)→ 40問(昭和40年~)→ 50問(昭和56年~現在)。なお、5問免除制度利用者の試験時間は10分程短縮。

この1問当たりの所要時間については、決して長いとは思えませんが、本試験で出題される問題のボリュームや難易度を踏まえると、極端に短いともいえず、十分落ち着いて解答することができるはずです。

また、宅建士は出題パターンもほぼ決まっているため、学習しやすい面をもっています。
出題パターンと問題数
出題パターン 平成27年度 平成28年度
正誤問題 24問 48% 27問 54%
× 16問 32% 15問 30%
個数問題 9問 18% 6問 12%
組合せ問題 1問 2% 2問 4%
ところが、近年は出題者側の意地(簡単には点を取らせない)ともとれるいやらしい難易度の高い問題が出題されることも目立ち始めており、平成20年度に出題された問35などは、そのいい例です(最近は特に正確な知識がないと解答が導き出せない個数問題が増えているように思えます)。
宅地建物取引業者Aが、Bから自己所有の宅地の売却の媒介を依頼された場合における当該媒介に係る契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。


ア.Aが、Bとの間に一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結したときは、当該宅地に関する所定の事項を必ずしも指定流通機構へ登録しなくてもよいため、当該媒介契約の内容を記載した書面に、指定流通機構への登録に関する事項を記載する必要はない。

イ.Aが、Bとの間に専任媒介契約を締結し、当該宅地に関する所定の事項を指定流通機構に登録したときは、Aは、遅滞なく、その旨を記載した書面を作成してBに交付しなければならない。

ウ.Aが、Bとの間に専任媒介契約を締結し、売買契約を成立させたときは、Aは、遅滞なく、当該宅地の所在、取引価格、売買契約の成立した年月日を指定流通機構に通知しなければならない。


1. 一つ
2. 二つ
3. 三つ
4. なし

【平成20年度/問35より抜粋】
この問題は個数問題として出題されましたが、解答は(4)の〝なし〟が正解となりますが、受験者の中には《正しいものがいくつあるか?と問われているのに、すべての選択肢が誤っているはずはない…》といった心理が働き(4)を選択するには抵抗があった方もおそらくいたはずです。

そのため、この問題の正解率は極めて低く、問題に割いた時間も長くなってしまったといった経験者も多いことでしょう。

しかし、先にも触れたとおり、宅建士は7割以上の得点を取れば、ほぼ安全圏に入ることができる試験なので、このようなトラップ問題で得点に結びつかなくとも、他の問題で十分カバーできる内容になっています。

したがって、宅建士試験は解ける問題から解いていき、難易度の高い問題や時間のかかりそうな問題は後回しにするなどのテクニックを身に付けておくと落ち着いて解答することができるでしょう。





独学 or 講座 !? 宅建士受験生がとるべき勉強スタイルとは…

宅建士は宅建業法や民法を中心に様々な法令知識の習得が欠かせない国家試験なので、普段、法律に慣れ親しんでいない一般受験生の中には、独学にするか、それとも専門講座を利用するかで迷ってしまう方も多いようです。

また、近年は宅建士受験者に対し、かなり細かな知識まで要求するような問題も見られ、従来に比べると試験自体の難易度が徐々に上がっているのは確かなようです。

しかし、宅建士は受験者同士を振るいにかけ、一部の成績上位者のみを合格させるような試験制度を採用しているわけではありません。

宅建は人気も高く市販テキストや問題集が他の資格試験に比べ非常に充実していることや、問題自体の難易度が上がっているとはいえ、依然として過去問に対する重要性が高いことなどを踏まえると、初学者でも、比較的、学習しやすい試験であると言えそうです。

そのため、個人的な経験も踏まえると、中途半端な勉強さえしなければ自分が使いやすいと思えた市販テキストや問題集を利用しながらの独学で十分合格が狙える試験だと感じられることから、比較的、学習時間に余裕がある方は独学による学習スタイルをおススメします。

しかし、「独学ではちょっと心配だ…」「どんな教材を使ったらよいのか分からない…」といった不安を抱いていたり「社会人なので勉強時間が限られている…」「できるだけ短期合格したい!」といった条件に当てはまる人は、専門講座の利用を検討してみる価値はありそうです。

受験指導校が開講している専門講座は、合格に必要な効率的なカリキュラムや教材が用意されているだけでなく、プロの専門講師による指導体制が整っているので、特に勉強時間の限られている方や短期合格を目指しているという方には最適な学習スタイルであることは間違いありません。

したがって、個人的には市販教材を使った独学をお勧めしますが、時間に余裕のない方などは専門講座の利用も一度検討してみるべきかと思われます。

基本的に、宅建士レベルの難易度であれば、どの大手スクールを利用したところで、合否を大きく左右するほどの優劣はないと感じられますが、好みの問題や利便性などもあるので、スクール選びしっかりと行うべきです。

そこで、参考までに宅建士対策には定評のある大手スクール(どちらも資料請求自体は無料)を下記に2つほど紹介しておくので、まずは複数社から案内資料を取り寄せるなどして、使用教材やカリキュラム、講師陣やサポート体制、費用等を中心に比較検討してみてください。

※ 大手資格スクールが配布している案内資料の中には、近年の出題傾向等の試験ガイドが詳しく掲載されているものもあるので、それに目を通すだけでも損はないはずです。

宅建士講座の特徴
資格の大原 宅建主任者講座
大原と同様、特に宅建に強い受験指導校というわけではないが、資格試験対策のノウハウは十分にある大手スクールのひとつ。

宅建が満点を目指す必要のない試験であることから、あくまで試験合格を最優先とした満点にこだわらないカリキュラムや使用教材を用意している。

そのため、勉強時間が限られていたり短期合格を目指している受験生には検討の価値があるかもしれない。

ただ、基本的に大手スクールであれば、使用教材やカリキュラム等に大きな優劣の差はみられないので、後は受講者の好みで選択してほしい。
宅建に関しては一発合格主義をモットーとする大手スクールのひとつ。

特に宅建のような法律系資格に強い受験指導校というわけではないが、大手ならではの受験ノウハウがあり、教材の作成から講義、質問まで受験指導のプロが万全の専任講師体制を取っているので心強く、受講者の習熟度(初学者/上級者向け…等)に応じてコースが選べる点も学習者側からすると有難い。

また、学習箇所を迷わせない(各問題に重要度を表すランク付けを行う…等)独自教材を使用しているので、一度、案内資料で教材の詳細やカリキュラムをチェックし、他スクールなどと比較してみてほしい。