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矢印年度別:中小企業診断士2次試験の過去問題(ダウンロード)
中小企業診断士試験の第1次試験合格後に待ち構えているのが第2次試験です。

2次試験は筆記試験と口述試験とに分かれますが、筆記試験さえパスしてしまえば、ほぼ合格を手にしたようなものなので、試験の合否を握るのは筆記試験の方です。

※ ただし、稀に口述試験で落とされる人もいるようなので、筆記試験合格者は論述試験で出題された事例問題を中心に最低限の対策は必ず行なうように!

そこで、筆記試験対策のポイントについて少しまとめておきましょう。

中小企業診断士試験:2次試験の特徴と攻略ポイント

中小企業診断士試験の2次試験は4科目で構成されていますが、1次試験のマークシート方式とは違って、すべて論述式(事例によっては計算問題も出題される)の筆記試験です。

実際に過去問題にチャレンジしてみればわかることですが、2次試験は1次試験対策で習得した基礎知識をベースに応用力が試されるため、1次試験よりも頭を使う〝考える力〟が重視されます。

そのため、単に知識があるだけではダメで、思考プロセスや表現力、指定された制限字数内(過去問を見ていただければわかるように設問によって異なりますが、概ね40~200字程度)でまとめ上げる表現力などが必要になってくるため、1次試験とは違った対策が必要になってきます。
参考:平成28年度 中小企業診断士2次試験
試験科目 試験時間 配点
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ 80分 第1問(40点)
第2問(40点)
第3問(20点)
100点満点
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ 80分 第1問(20点)
第2問(30点)
第3問(20点)
第4問(30点)
100点満点
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ 80分 第1問(20点)
第2問(30点)
第3問(20点)
第4問(30点)
100点満点
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ 80分 第1問(25点)
第2問(35点)
第3問(15点)
第4問(25点)
100点満点
この手の論述問題は正解が1つではないため、問題の趣旨を理解し、いかに採点者を納得させるだけの解答を書き上げるかがポイントになってくるわけですが、そこで、最も役立つのが過去に出題された本試験問題(いわゆる過去問題)です。

2次試験対策のベースは本試験問題の反復練習で磨くことが有効なので、必ず過去問題は解くようにしてください。

その際、ただ漫然と解いて、解答を丸暗記するだけでは何の意味もありません。

特に中小企業診断士第2次試験で出題される事例は、ストーリー性のある与件が出されるため、問題文自体が長く、その長文問題を基に、「~について●●字以内で答えよ」といった設問がいくつか立てられるパターンで出題されます。

この手の解答を導き出すには、読み → 考え → 書くという3つのプロセスで解法を組み立てていくことが大事になってきますが、各段階におけるポイントをしっかり押え制限時間内で解答用紙を書き上げるスキルを磨くには、訓練による慣れが必要です。

そのため、過去問題に取り掛かる際には、次のような点を意識しながら事例問題を解き、解法パターンを鍛えてください。
読解力
(読む)
チェック問題をコピーする
チェック情報(問題文)を正確に理解するため、重要語句(企業状況や企業理念・目標など)にチェックを入れていく
構成力・考察力
(考える)
チェック設問の意図を理解し、採点者が何を求めているのかを正確に把握する
チェック設問ごとの解答に矛盾が生じないよう解答に一貫性を持たせることを意識する
チェック解答用紙で何度も書き直さないために、大まかな下書きをする
表現力
(書く)
チェック丁寧に書くことを心がける(字の上手い下手ではない)
チェック難解な言い回しよりも解りやすい言葉で説明する
過去問:中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰより


A社は、1950年代に創業された、資本金1,000万円、売上高14億円、従業員数75名(非正規社員を含む)のプラスチック製品メーカーである。1979年に設立した、従業員数70名(非正規社員を含む)のプラスチック製容器製造を手がける関連会社を含めると、総売上高は約36億円で、グループ全体でみた売上構成比は、プラスチック製容器製造が60%、自動車部品製造が24%、健康ソリューション事業が16%である。ここ5年でみると、売上構成比はほとんど変わらず、業績もほぼ横ばいで推移しているが、決して高い利益を上げているとはいえない。

A社単体でみると、その売上のおよそ60%を自動車部品製造が占めているが、創業当初の主力製品は、プラスチック製のスポーツ用品であった。終戦後10年の時を経て、戦後の混乱から日本社会が安定を取り戻し、庶民にも経済的余裕が生まれる中で、レジャーやスポーツへの関心が徐々に高まりつつあった。そうした時代に、いち早く流行の兆しをとらえた創業者が、当時新素材として注目されていたプラスチックを用いたバドミントン用シャトルコックの開発・製造に取り組んだことで、同社は誕生した。

創業当初こそ、バドミントンはあまり知られていないスポーツであったが、高度経済成長とともに、創業者のもくろみどおりその市場は広がった。その後、同社のコア技術であったプラスチックの射出成形技術(加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させることによって、成形品を得る方法)によるシャトルコックの製造だけでなく、木製のラケット製造にも業容を拡大すると、台湾にラケット製造の専用工場を建設した。

しかし、1970年代初めの第一次オイルショックと前後して、台湾製や中国製の廉価なシャトルコックが輸入されるようになると、A社の売上は激減した。時を同じくして、木製ラケットが金属フレームに代替されたこともあって、A社の売上は最盛期の約70%減となり、一転して経営危機に直面することになった。どうにか事業を継続させ、約40名の従業員を路頭に迷わせずに済んだのは、当時バドミントン用品の製造・販売の陰で細々と続けていた、自動車部品の受注生産やレジャー用品の製造などで採用していたブロー成形技術(ペットボトルなど、中空の製品を作るのに用いられるプラスチックの加工法)があったからである。そして、その成形技術の高度化が、その後、A社再生への道を切り開くことになる。

A社の経営が危機に陥った時期、創業者である父に請われてサラリーマンを辞めて、都市部から離れた生まれ故郷の農村に、A社社長は戻ることを決意した。瀕死状態のA社の事業を託されたA社社長は、ブロー成形技術の高度化に取り組むと同時に、それを活かすことのできる注文を求めて全国を行脚した。苦労の末、楽器メーカーから楽器収納用ケースの製造依頼を取りつけることができた。自社で開発し特許まで取得した新しい成形技術を活かすことができたとはいえ、その新規事業は、技術難度はもちろん、自社ブランドで展開してきたバドミントン事業とは、事業に対する考え方そのものが異なっていた。そこで、再起をかけてこのビジネスをスタートさせたA社社長は、当初社内で行っていた新規事業を、関連会社として独立させることにした。

こうして本格的に稼働した新規事業は、A社社長の期待以上に急速に伸長し、それまで抱えてきた多額の借入金を徐々に返済することができるまでになり、次なる成長事業を模索する余裕も出てきた。そこで、A社社長が注目した事業のひとつは、同社の祖業ともいうべきスポーツ用品事業での事業拡大であった。ターゲットにしたのは、1980年頃認知度が高まりつつあったゲートボールの市場である。ゲートボール用のボールやスティック、タイマーなどで特許を取得すると、バドミントン関連製品の製造で使用していた工場をゲートボール用品工場に全面的に改装し、自社ブランドでの販売を開始した。少子高齢化社会を目前に控えたわが国でその市場は徐々に伸長し、A社の製品が市場に出回るようになった。しかし、その後、ゲートボールの人気に陰りがみられるようになったために、次なるスポーツ用品事業の模索が始まった。

もっとも、その頃になると、自動車部品事業拡大を追い風にして進めてきた成形技術の高度化や工場増築などの投資が功を奏し、バスタブなどの大型成形製品の注文を受けることができる体制も整って、A社グループの経営は比較的順調であった。また、新規事業を模索していたスポーツビジネスでは、シニア層をターゲットにしたグラウンドゴルフ市場に参入し、国内市場シェアの60%以上を占めるようになった。

2000年代半ばになると、地元自治体や大学との連携によって福祉施設向けレクリエーションゲームや認知症予防のための製品を開発し、福祉事業に参入した。さらに、ゲートボールやグラウンドゴルフなどシニア向け事業で培ってきた知識・経験、そしてそれにかかわるネットワークを活用できることから、スポーツ関連分野の事業全体を健康ソリューション事業と位置づけた。健康ソリューション事業では、シニア層にターゲットを絞ることなく、体力測定診断プログラムなどのソフト開発にも着手しサービス事業を拡大して、グループ売上全体の16%を占めるまでに成長させたのである。

こうして経営危機を乗り越えてきたA社では、A社社長が社長を務める関連会社を含めて、従業員のほとんどが正規社員であり、非正規社員は数名に過ぎない。グループ全体の事業別従業員構成は、プラスチック製容器製造が70名、自動車部品製造が35名、健康ソリューション事業が40名である。近年になってボーナスなどでわずかに業績給的要素を取り入れつつあるが、給与や昇進などの人事制度は、ほぼ年功ベースで運用されている。


第1問(配点20点)

ゲートボールやグラウンドゴルフなど、A社を支えてきたスポーツ用品事業の市場には、どのような特性があると考えられるか。100字以内で述べよ。

第2問(配点20点)

A社は、当初、新しい分野のプラスチック成形事業を社内で行っていたが、その後、関連会社を設立し移管している。その理由として、どのようなことが考えられるか。120字以内で述べよ。


第3問(配点20点)

A社および関連会社を含めた企業グループで、大型成形技術の導入や技術開発などによって、プラスチック製容器製造事業の売上が60%を占めるようになった。そのことは、今後の経営に、どのような課題を生み出す可能性があると考えられるか。中小企業診断士として、100字以内で述べよ。


第4問(配点20点)

A社および関連会社を含めた企業グループで、成果主義に基づく賃金制度を、あえて導入していない理由として、どのようなことが考えられるか。100字以内で述べよ。


第5問(配点20点)

A社の健康ソリューション事業では、スポーツ関連製品の製造・販売だけではなく、体力測定診断プログラムや認知症予防ツールなどのサービス事業も手がけている。そうしたサービス事業をさらに拡大させていくうえで、どのような点に留意して組織文化の変革や人材育成を進めていくべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。


【参考:平成27年度 中小企業診断士第2次試験】


年度別:中小企業診断士2次試験の過去問題

平成26年度 平成27年度 平成28年度
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ 問題 問題 問題
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ 問題 問題 問題
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ 問題 問題 問題
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ 問題 問題 問題


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