国家資格.net ~ 中小企業診断士 編 ~
中小企業診断士試験の難易度top

試験制度から見た中小企業診断士試験の難易度

中小企業診断士試験は、1次試験(8月)と2次試験(10月【筆記】と12月【口述】)によって合否判定が行われる2ステップ方式の試験制度を導入しています。

下記に示した受験者データによると、1次試験・2次試験ともに、合格率は比較的安定した推移を示しているようで、その平均値(過去5年分)は、いずれも20%前後です。
1次試験の試験結果
受験者 合格者 合格率
H24 14,981 3,519 23.5%
H25 14,252 3,094 21.7%
H26 13,805 3,207 23.2%
H27 13,186 3,426 26.0%
H28 13,605 2,404 17.7%
平均 22.4%
2次試験の試験結果
受験者 合格者 合格率
H24 4,878 1,220 25.0%
H25 4,907 910 18.5%
H26 4,885 1,185 24.3%
H27 4,941 944 19.1%
H28 4,394 842 19.2%
平均 21.2%
1次・2次試験:合格率の比較グラフ
ちなみに、正確な最終合格率を計算するのは難しい(理由:科目合格制の導入や1次試験合格者は2次試験に2回チャレンジすることができる…など)ので、あくまで参考程度にしかなりませんが、単純計算(1次合格率×2次合格率)すると、概ね3~4%前後といったところでしょう。

一般に合格率が10%を大幅に下回るような国家資格は、非常に難易度の高い難関試験とみて間違いないので、中小企業診断士試験は、あなたが思っている以上に難しい試験であると理解しておくべきです。

※補足情報:H13年度の1次試験合格率は51.3%と高数値でしたが、これは試験制度の改正が大きく影響したものと考えられます。

そして、さらに中小企業診断士試験の難易度を上げていると思われる要因のひとつが、2次試験の受験資格である1次試験合格者という権利に有効期限(2年間)があるという点です。

具体的には、1次試験に合格(全科目合格が条件)した年度と、その翌年度に限り、2次試験の受験資格が与えられるため、もし仮に、その期間内に2次試験に合格することができなければ、再度、1次試験から受け直さなければなりません。

2次試験の口述試験で落ちるというのは稀なので、筆記試験さえパスしてしまえば、よほどの失態がない限りほぼ合格を手にしたようなものですが、筆記試験の方はそうはいきません。

合格率が物語っているように、1次試験に合格したある程度一定の知識を持った受験者であるにもかかわらず、その内の上位20%しか合格できていないという現状を踏まえると、1次よりも厳しい試験であり、再度、1から受験しなおす(あるいは、そこで諦めてしまう)という方も珍しくはないでしょう。

※ 中小企業診断士試験は受験資格がないので、2次試験に比べると1次試験受験者層のレベルは低いと考えられます(つまり、受験者層の質に違いが出てくるため、たとえ平均合格率が同じような数値であっても、2次試験の方がより高いスキルが求められる!)。

そういう意味では、中小企業診断士試験は合格までの道のりが長く、受験者は長期間にわたって気を引き締め、試験対策に取り組まなければならないモチベーションも大きく影響してくる難易度の高い試験制度と言えます。
合格基準から見た難易度
中小企業診断士試験の難易度を上げていると思われる要因は、試験の合否判定を決定する合格基準からも見てとれます。

1次試験の合格基準は総得点の60%以上とされているため、単純に考えれば、700点(全7科目/各科目100点満点)中、420点以上の得点があれば合格できることになります。

しかし、試験制度の変更(平成18年~)により、これまで実施年度によって不公平感があった合格基準を緩和するための措置(絶対評価基準 → 相対評価基準へ)がとられることになりました。

そのため、受験者は次の2点についても押さえておく必要がありそうです。
1次試験:合格基準
チェック全7科目中、40%未満の科目が1科目でもあると不合格となる!

チェック合格基準は変動するため、必ずしも毎年40%未満とは限らない!
中小企業診断士は、経営全体を総合的に分析・診断し、経営者に対し様々な助言や具体的な経営改善策を提案する経営コンサルティングもメイン業務のひとつであることから、合否判定は総合点だけで判断するのではなく、各試験科目(7科目)毎にも合格基準が設けられています。

そのため、得意科目で不得意科目をカバーするという策にも限界があることから、苦手意識をもっている試験科目もある程度克服し、本試験で基準点以上の得点が取れるだけの実力を身に付けなければなりません。

つまり、得意科目よりも苦手科目をなくすことの方が大切だということです。

したがって、極端に点数の悪い科目がある場合、その苦手科目をどのようにして克服するか、その点が受験者にとっては悩みどころであり、試験難易度を上げている一要因にもなっているようです。
2次試験:合格基準
チェック総得点の60%以上であること!

チェック1科目でも満点の40%未満がないこと!

チェック口述試験における評定が60%以上であること!
科目合格制から見た難易度
試験制度の一部改正により、中小企業診断士試験は科目別合格制が導入(平成18年度以降)されたため、試験科目すべて(全7科目)を1度の試験で一発合格する必要はなくなりました。

つまり、具体的には3年以内にすべての試験科目が合格基準を満たせばよいという条件に変わったため、一見、受験者の負担が軽くなったという見方もできそうですが、実はこの科目合格制の導入は、受験者が手放しで喜べるような制度ではありません。

というのも、科目合格制の合格基準は満点の60%以上が条件となっており、全7科目を一発合格した場合の合格条件(1科目でも40%未満がないことが条件)とは若干異なってくるので、すべての試験科目において60%以上の正解率が必要になってきます。

そのため、この科目合格制においては、一発合格よりも苦手科目を他の得意科目でカバーするといったことが難しくなってきます。

つまり、得意科目や苦手科目のバランスによっては、かえって試験の難易度が上がってしまい、合格が遠のいてしまうので、あくまで救済措置としての制度と理解し、できるだけ短期合格を目指した方がよさそうです。

※ また、あまり長期間にわたって試験勉強をしていると、モチベーションを維持するのが難しくなるだけでなく、合格科目の知識を忘れてしまったり、試験傾向が変わってくるなどの問題がでてくることもあります。
1次試験:合格基準
チェック科目別合格基準は、正解率6割(60点/100点満点)以上!

※ ただし、合格基準は試験の難易度により変動します。
科目合格制の落とし穴〈具体例〉
1回目 総得点が60%以上であり
かつ満点の40%未満の
科目がないことから
矢印
1次試験合格!

「財務・会計」
「経営情報システム」
科目で不得意科目をカバー
1回目 2回目 3回目 3回の受験による総得点の合計は
満点の60%以上となるが
3回目に受けた2科目の得点が
合格基準を満たしていない
矢印
1次試験不合格!

不得意科目を
他の得意科目でカバーできない…
得点 得点 得点 得点
経済学・経済政策 60点 60点 免除 免除
財務・会計 80点 80点 免除 免除
企業経営理論 60点 不合格 60点 免除
運営管理(オペレーション・マネジメント) 45点 不合格 不合格 45点
経営法務 45点 不合格 不合格 45点
経営情報システム 80点 不合格 80点 免除
中小企業経営・中小企業政策 60点 不合格 60点 免除
総得点 430点 430点


出題傾向&本試験問題から見た中小企業診断士試験の難易度

中小企業診断士試験難易度が高いと感じている受験者は多いようですが、その理由のひとつは、他のビジネス系資格以上に〝応用力〟や〝思考プロセス〟が試される実務直結型の試験という点にあるのかもしれません。

中小企業診断士は、経営コンサルタントという業務が中心の士業でなので、この点を重視するのは当然と言えば当然のことですが、その結果、学生よりも実務経験のある働き盛りの社会人受験者(主に30~40代)が中心の試験となっています。
1次試験の試験結果
H27 H28
受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率
20歳未満 64 1 1.6% 67 3 4.5%
20~29歳 2,910 479 16.5% 3,198 385 12.0%
30~39歳 6,263 1,215 19.4% 6,502 898 13.8%
40~49歳 5,333 1,049 19.7% 5,614 693 12.3%
50~59歳 2,930 559 19.1% 3,116 350 11.2%
60~69歳 786 116 14.8% 854 74 8.7%
70歳以上 75 7 9.3% 93 1 1.1%
2次試験の試験結果
H27 H28
受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率
20歳未満 0 0 0.0% 1 0 0.0%
20~29歳 533 129 24.2% 490 122 24.9%
30~39歳 1,763 396 22.5% 1,587 360 22.7%
40~49歳 1,655 286 17.3% 1,454 233 16.0%
50~59歳 927 119 12.8% 817 106 13.0%
60~69歳 234 14 6.0% 180 21 11.7%
70歳以上 18 0 0.0% 10 0 0.0%
中小企業診断士:試験結果グラフ
さて、本試験で出題される内容ですが、近年は単なる暗記力だけでは対応できず、受験者の考える力、つまり理解力を問う問題がより重視される傾向にあるため、理解力重視の勉強が苦手な方には難易度の高い難しい試験になりつつあるようです。

中小企業診断士試験は、1次試験と2次試験に分かれて行われますが、全ての試験科目が均等に関連してくるわけではないので、2次試験との関連性の強い科目は特に1次試験対策の段階で、2次試験を意識した勉強をした方が効率的と言えます。

つまり、見方を変えれば、それができないと勉強期間が長期化してしまう恐れが高いので、2次試験との相乗効果を考慮した学習計画が組み立てられない者は、受験指導校の専門講座の利用を検討してみることをお勧めします。

また、受験者にとっての最大の山場である2次試験に関しては、問題自体のボリュームが多く、出題者の意図を理解するのに時間が掛かってしまい、即答できるような問題が減っています。

2次試験は1次試験のマークシート方式とは違って論述方式なので、制限字数内にポイントを押えて簡潔にまとめ上げる思考プロセスや表現力が求められます。

この手の論述試験のやっかいなところは、正解が1つではないため、何から手を付けたらよいのか分からない自分の答案を客観的に見れないといった問題点が挙げられます。

合格レベルの答案を作成するスキルは、事例問題の反復練習により、解法パターンや表現力、スピードを上げる訓練が基本となってきますが、2次試験対策向けの良質な市販教材(テキストや問題集)が少ないといったことも受験者にとっては悩みの種のようです。

そのため、そういう意味では、特に独学者にとっては試験対策が行い難く、より難易度の高い試験になってしまっているように見受けられます。
中小企業診断士講座の特徴
資格の大原 中小企業診断士講座
特に会計・経営・労務関係の資格取得に強い実績のある受験指導校。

中小企業診断士試験対策向けの市販テキスト『スピードテキスト』シリーズを利用する受験者も多く、使用教材の質に関しては支持する受講生も多い。

一方で講師陣については特に優れているといった声はあまりなく、他校の方がよいとする意見もみられるため、教材やフォロー体制を重視するのであれば、一度、検討してみてはいかがだろうか(ただし、講師は相性もあるので必ずしもカリスマ性をもった看板講師が万人受けするとは限らないということを付け加えておく)。
受講生がぶち当たった問題点が即解決できる専任講師体制を取り入れるなど難関試験であることを十分考慮した学習環境作りを受講生に提供している点は評価したい。

使用教材やカリキュラムが、他スクールよりも抜きん出て優れているとは感じられないが、押さえておくべきポイントを的確に指示し、合格に必要な知識・論点だけを集中して習得できるような工夫がなされている点はまさに大手ならでは。

後は受講者の好みの問題となってくるので、一度、案内資料を取り寄せるなどして、他スクールなどで使用する教材・カリキュラム等と比較してみてほしい。