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合格率から見た社会保険労務士試験の難易度

社会保険労務士試験の合格率は、平成19年度こそ17年ぶりに10%超えしたものの、その後は概ね7~8%台と安定した推移を示しています。
社労士試験の合格率グラフ
これは、社会保険労務士試験が、事実上の相対評価試験であることが大きく影響しているためですが、合格者を大幅に増やそう(あるいは、減らそう)といった動きが見られない以上、合格率に関しては、今後も比較的安定した推移を示すことが予測されます(ただ、ここ数年の変動の激しさを踏まえると、変革期に入ったという見方もでき、今後の動向に注目しなければなりません)。

※ 相対評価試験とは「受験者の上位●●%を合格者とする」といったように、成績上位の者から順に合格する試験制度のこと。そのため、相対評価試験においては受験者同士の競争試験となりやすい。

したがって、試験合格率は10%未満という狭き門ではありますが、絶対評価を採る行政書士試験のような試験問題の難易度によって合否が左右される、いわば運的な影響は小さいため、受験者全体の中である一定のポジション(つまり、上位7~8%程度)につけていれば、合格も夢ではない試験制度であることから、そういった意味では運に左右されにくい本当の実力が試される試験といえます。

※ 絶対評価とは「規定の合格基準を満たした受験者は合格者とする」といった試験制度のこと。そのため、試験問題の難易度が極端に高いと基準に達しない受験者が続出し合格者が激減してしまうといった現象が起こりうる。




過去問題から見た社会保険労務士試験の難易度

これまでの社会保険労務士試験の過去問題を分析してみると、極端にクセのある問題や悪問は少なく、基礎的知識を中心とした、難易度的には過去問レベルの問題が目立つことが分かります。

したがって、本試験における出題問題自体の難易度が、極めて高度で難解な知識を受験者に要求しているものではなさそうです(ただし、近年は、以前よりもより細かな(深い)知識が求められている問題も目立ち始めており、問題のレベルが上がりつつあるような節も見てとれます)

その点を踏まえると、社会保険労務士試験が難しいと言われる理由のひとつは、どうやら、その広範な試験範囲にあると考えられます。

社会保険労務士の試験科目は、労働関係科目と社会保険関係科目を併せると8科目にも及び、中には的が絞りづらい科目もあるため、深入りしすぎると学習時間がいくらあっても足りないといった受験者泣かせの面を持っています。

しかし、足切り制度のある国家試験なだけに、不得意科目は捨てて得意科目で点数を稼ぐといった戦略にも限界があるため、各科目バランスよく勉強し、極端な不得意科目は作らないようにしなければなりません。

また、比較的、基礎を問う問題が多いとはいえ、社会保険労務士試験は紛らわしい語句や数字を選択肢に複数混ぜて出題するため、曖昧な知識では正確な解答が簡単には導けないようになっています。

受験者同士の競争試験という特徴をもったこの手の試験では、1点のミスが合否を左右してしまうため、正確な理解力や記憶力に加え、解答スピードが要求される試験であるということが、難易度の高い試験と感じさせているようにも見えます。





試験制度から見た社会保険労務士試験の難易度

相対評価試験と難易度の関係
先にも説明したとおり、社会保険労務士試験は相対評価による試験制度です。

そのため、本試験で出題される問題の難易度によって合否が左右されてしまうような運的要素の影響は少ない(ただし、平成27年度、平成28年度の試験結果を振り返ると、例年にない合格率の低さから、運的な要素がまったくないと自信をもって断言することはできず、今後の試験に不安を残します…)受験者自身の本当の実力が試される試験といえます。

社労士試験:職業別構成グラフつまり、受験者全体の上位10%程が合格する試験制度を採用している以上、全受験者の総得点が上昇した場合には合格基準も底上げされることになるので、今年の試験問題は易しかったから高得点が取れた!だから自分は合格だ!とは考えにくいのです。

したがって、相対評価試験を採る社会保険労務士試験においては、受験者全体との位置関係(能力レベル)を常に意識し、全受験者の上位10%内に入ることを目標とした受験テクニック(試験対策)が必要になってくる試験制度といえるかもしれません。

また、社会保険労務士を目指すような方は、スキルアップや独立を目指す資格取得に前向きな社会人受験者が多く、記念受験や試し受験といった勉強不足の受験者は少ないため、その点が試験の難易度を上げている一要因にもなっているようです。
社労士試験合格者(職業別構成)
H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 h28
会社員 47.0% 49.7% 48.9% 52.0% 51.3% 53.0% 53.3% 55.3% 51.3% 54.9%
無職 22.1% 19.2% 20.5% 21.0% 17.8% 19.1% 17.9% 16.1% 17.2% 14.5%
公務員 8.0% 8.5% 8.5% 5.1% 7.9% 6.4% 5.4% 6.8% 8.5% 6.6%
学生 ----- ----- ----- 1.6% 1.0% 0.8% 0.6% 0.7% 0.7% 0.6%
その他 22.9% 22.6% 22.1% 20.3% 22.0% 20.7% 22.8% 21.1% 22.3% 23.4%
足切り制度が及ぼす試験の壁
社会保険労務士試験は、平成13年度以降、合格基準が公式HP(社会保険労務士試験オフィシャルサイト)で公表されるようになりました。

この合格基準によると、試験の難易度によって、毎年補正がなされるものの、択一式・選択式問題ともに、概ね6~7割程度の正答率が合格条件になっているようです。

しかし、合格基準で注目すべきことは、各科目ごとに最低得点(足切りライン)が設けられている点です。

つまり、たとえ総得点で合格基準を満たしていても、各科目の最低得点に達していなければ不合格になってしまう足切り制度を採用しているため、極端な不得意科目はなくし、合格ラインを超える程度の実力を身に付けておかなければならないということです。

なお、ここ数年、合格基準における各科目の救済措置がみられない(択一式)年度も増えていますが、この足切り制度が社会保険労務士試験の難易度を上げている要因のひとつとみて間違いないでしょう。
年度別:社労士試験の合格基準
年度 選択式試験[40点満点] 択一式試験[70点満点]
H13
《33回》
総得点26点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、厚生年金保険法、国民年金法は2点以上
総得点45点以上、かつ各科目4点以上
※ただし、労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識については3点以上
H14
《34回》
総得点28点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法は2点以上
総得点44点以上、かつ各科目4点以上
H15
《35回》
総得点28点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、厚生年金保険法、国民年金法は2点以上
総得点44点以上、かつ各科目4点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、厚生年金保険法は3点以上
H16
《36回》
総得点27点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、健康保険法は1点以上
総得点42点以上、かつ各科目4点以上
※ただし、健康保険法、厚生年金保険法及び国民年金法は3点以上
H17
《37回》
総得点28点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法は2点以上
総得点43点以上、かつ各科目4点以上
H18
《38回》
総得点22点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、社会保険に関する一般常識、厚生年金保険法は2点以上
総得点41点以上、かつ各科目4点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識は3点以上
H19
《39回》
総得点28点以上、かつ各科目3点以上 総得点44点以上、かつ各科目4点以上
H20
《40回》
総得点25点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、健康保険法は1点以上、厚生年金保険法、国民年金法は2点以上
総得点48点以上、かつ各科目4点以上
H21
《41回》
総得点25点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法は2点以上
総得点44点以上、かつ各科目4点以上
H22
《42回》
総得点23点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、健康保険法、厚生年金保険法及び社会保険に関する一般常識は2点以上、国民年金法は1点以上
総得点48点以上、かつ各科目4点以上
H23
《43回》
総得点23点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、社会保険に関する一般常識、厚生年金保険法及び国民年金法は2点以上
総得点46点以上、かつ各科目4点以上
H24
《44回》
総得点26点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、厚生年金保険法は2点以上
総得点46点以上、かつ各科目4点以上
H25
《45回》
総得点21点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、社会保険に関する一般常識は1点以上、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法は2点以上
総得点46点以上、かつ各科目4点以上
H26
《46回》
総得点26点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、雇用保険法、健康保険法は2点以上
総得点45点以上、かつ各科目4点以上
※ただし、労働及び社会保険に関する一般常識は3点以上
H27
《47回》
総得点21点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法、厚生年金保険法は2点以上
総得点45点以上、かつ各科目4点以上
H28
《48回》
総得点23点以上、かつ各科目3点以上
※ただし、労働の一般常識、健康保険法は2点以上
総得点42点以上、かつ各科目4点以上
※ただし、労働及び社会保険の一般常識、厚生年金保険法、国民年金法は3点以上
独学に適した試験制度 !?
社会保険労務士は、社会人受験者が多い国家資格ですが、これは試験勉強で学んだ知識がそのまま実務で役立つ実務直結型の試験だからです。

したがって、見方を変えれば学生や主婦、社会人経験のない方にとっては難易度が高く感じてしまうこともあるでしょう。

また、先にも触れたとおり、足切り制度を導入しているので、得意科目を伸ばすよりも、極端な不得意科目を無くし、試験科目すべてをバランスよく学習して得点に結び付けるための学習プランを立てなければなりません。

そのため、仕事に追われ勉強時間が限られてくるような社会人受験者などは、無駄の多い独学(出題傾向の分析や法改正点のチェック、市販テキストや問題集を自分で選ばなければならない)よりも、効率的に学習できる専門講座の利用(試験に関する情報はすべてスクールに任せることができるため、受講者は用意されたカリキュラムや教材の学習に徹することができる)を検討してみるのもよいかもしれません。

※ 学習時間に余裕がある方や法学部出身、あるいは他の法律家資格の受験経験者などは、独学でチャレンジしてみるのもよいでしょう。

そこで、参考までに社会保険労務士試験には定評のある大手スクール(資料請求自体は無料)を2つほど紹介しておくので、利用するしないにかかわらず、一度、案内資料を取り寄せるなどして、カリキュラムや教材内容等を比較検討してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

専門スクールでは「いったいどのようなカリキュラムや教材を使って試験対策を行っているのか?」その全体像を把握することは、これから独学で試験対策に取り組む受験者にとっても十分参考になるはずです。
社労士講座の特徴
資格の大原 社会保険労務士講座
どちらかというと会計系の資格に力を入れているスクールだが、長年の実績とノウハウがあるため、社労士や行政書士などの国家試験対策講座にも力を入れ始めているようである。

短時間で効率よく合格を手にするための勉強法を実践しているので、その学習スタイルは好みが分かれるところであるが、仕事で多忙を極め学習時間が思うように割けない受験者には検討してみる価値があるかもしれない(ちなみに、コースは初学者、中級者、上級者と複数用意されているので、現時点の自分の実力に合わせて選択可能)
大原の社労士講座は〝一発合格主義〟をモットーとしているだけに、本試験でパーフェクトを狙うことよりも試験突破することを目的とした教材を使用している。

そのため社会人をはじめとした学習時間が限られている受験者にとっては取り組みやすいカリキュラムが組まれている点は評価したい。

ただし、試験突破を最優先としているため、合格に必要でないと思われる範囲は思い切って省いているので、学習範囲はすべて押えておかないと不安になるという性格の持ち主にはあまり適さないかもしれない。